茜(あかね) Akane(Rubia akane)
茜(あかね)はアカネ科アカネ属のつる性多年生植物です。山野に生え、夏から秋にかけて茎の先に小さな白い花を咲かせます。古来から、その赤い根は「茜色」の染料として利用されてきました。また、根を乾燥させたものは止血、解熱、咳止めなどの生薬としても利用されてきました。
- Akane is a climbing perennial plant belonging to the Rubiaceae family. It grows in the mountains and fields, and produces small white flowers at the tips of the stems from summer to autumn. Since ancient times, its red roots have been used as a "madder color" dye. The dried root has also been used as a herbal medicine to stop bleeding, reduce fever, and suppress coughs.
茜(あかね)を詠んだ歌 Poems on Akane
万葉集では茜の花については一首も載っておらず、13首すべてが「あかねさす」など、昼・日・照るなどを導く枕詞(まくらことば)として詠まれています。
- In the Manyoshu, there is not a single poem about the Akane as a flower, and all 13 poems are composed as Makurakotoba "Akane-sasu" that guide the word Hiru(day), Hi(sun), Teru(shine) and so on.
0020: 茜さす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る
0169: 茜さす日は照らせれどぬばたまの夜渡る月の隠らく惜しも
0199: かけまくもゆゆしきかも言はまくもあやに畏き明日香の真神の原にひさかたの.......(長歌)
0565: 大伴の見つとは言はじあかねさし照れる月夜に直に逢へりとも
0916: あかねさす日並べなくに我が恋は吉野の川の霧に立ちつつ
2353: 泊瀬の斎槻が下に我が隠せる妻あかねさし照れる月夜に人見てむかも
2901: あかねさす日の暮れゆけばすべをなみ千たび嘆きて恋ひつつぞ居る
2370: さし焼かむ小屋の醜屋にかき棄てむ破れ薦を敷きて打ち折らむ醜の醜手を.......(長歌)
3297: 玉たすき懸けぬ時なく我が思ふ妹にし逢はねばあかねさす昼はしみらに.......(長歌)
3324: かけまくもあやに畏し藤原の都しみみに人はしも満ちてあれども君はしも.......(長歌)
3732: あかねさす昼は物思ひぬばたまの夜はすがらに音のみし泣かゆ
3857: 飯食めどうまくもあらず行き行けど安くもあらずあかねさす君が心し忘れかねつも
4166: 時ごとにいやめづらしく八千種に草木花咲き.......(長歌)
4455: あかねさす昼は田賜びてぬばたまの夜のいとまに摘める芹これ