橡(つるばみ) Tsurubami(Sawtooth oak)

クヌギの実 撮影(2008.10) by きょう

橡(つるばみ)は、ブナ科コナラ属の落葉高木のクヌギ(椚・櫟・橡)のことです。5月頃に花をつけ、秋に丸みのある大きなドングリをつけます。ドングリの実を煮出して、鉄を媒染材として、紺黒色の染料として使ったそうです。これで染めた衣は、庶民のための質素なものだったとか。

- Tsurubami(Quercus acutissima, Sawtooth oak) is a deciduous tree of the genus Quercus serrata of the family Fagaceae. The flowers come in May, and the large rounded acorns come in the fall. Manyo people boiled acorns and used iron as a mordant to make a dark blue dye. The clothes dyed with this dark blue dye were so simple for the common people.

橡(つるばみ)を詠んだ歌

クヌギの実 by 写真AC

万葉集に六首あり、派手さはないけれど、しっかりとした恋を歌ったものです。写真はクヌギの実です。

1311: 橡の衣は人皆事なしと言ひし時より着欲しく思ほゆ

1314: 橡の解き洗ひ衣のあやしくもことに着欲しきこの夕かも

2965: 橡の袷の衣裏にせば我れ強ひめやも君が来まさぬ

2968: 橡の一重の衣うらもなくあるらむ子ゆゑ恋ひわたるかも

3009: 橡の衣解き洗ひ真土山本つ人にはなほしかずけり

4109: 紅はうつろふものぞ橡のなれにし来ぬになほしかめやも

補足

更新日: 2021年04月25日(日)