原文 Original Text

飛鳥 明日香能里乎 置而伊奈婆 君之當者 不所見香聞安良武

作者 Author

元明天皇(げんめいてんのう) Empress Genmei

よみ Reading

飛ぶ鳥の 明日香(あすか)の里を 置きて去(い)なば 君があたりは 見えずかもあらむ

- Tobutori no Asuka no sato wo Okite inaba Kimi ga atari ha Miesu kamo aramu.

意味 Meaning

山辺の道 by 写真AC

明日香の里を置いて、奈良の都に行ってしまえば、あなたが住んでいるところはもう見えないのでしょうね。

・「飛ぶ鳥の」は、「明日香」を導く枕詞(まくらことば)として使われています。

・和銅3年(西暦710年)に藤原宮から奈良の都に遷都(せんと)する時に、御輿(みこし)を長屋の原に停めて、古里を望んで詠んだ歌とされています。

・長屋の原は、現在の天理市西井戸堂町(にしいどうどうちょう)・合場町(あいばちょう)付近の平野とされています。

- rough meaning: Once I leave the hometown of Asuka and go to the capital of Nara, I shall no longer see where you live. [This is a poem that was sung by Emperess Gensho when the capital moved from Fujiwara-no-miya to Nara-no-miyako in the 3rd year of Wado(710 AD).]

補足 Notes

・この歌の題詞には、「和銅三年庚戌(こうしゅつ)春二月 藤原宮より寧樂宮(ならのみや)に遷(うつ)る時 御輿(みこし)を長屋の原に停(とど)めて 古郷を廻望(かえり)みて作らす歌 [一書に云く 太上天皇(元明天皇のこと)の御製(おおみうた)]」とあります。

・なお、題詞の[一書に云く 太上天皇の御製]の太上天皇を持統天皇とする説もあります。

更新日: 2023年05月21日(月)