去(さ)る Saru(move, come)
基本的には空間的・時間的に移動する意味があります。ある場所からいなくなったり、ある場所に来たりする意味もあります。また、ある状態になることも意味します。
- Basically, "Saru" means moving spatially and temporally and leaving or coming to a certain place. It also means being to a certain state.
「去(さ)る」を詠んだ歌
万葉歌の中での使われかたは次のようなものが多いです。
- ・秋さらば
- 秋になったなら
- ・春去り来れば
- 春がやってくると
- ・夕さらば/夕されば
- 夕方、夕暮れになると
その他の使われかたとして、明けされば、春さらば、夕去り来れば、夜さり来れば、などがあります。
0016: 冬ごもり春さり來れば鳴かざりし鳥も來鳴きぬ.......(長歌)
0084: 秋さらば今も見るごと妻恋ひに鹿鳴かむ山ぞ高野原の上
0121: 夕さらば潮満ち来なむ住吉の浅香の浦に玉藻刈りてな
0354: 縄の浦に塩焼く煙夕されば行き過ぎかねて山にたなびく
0464: 秋さらば見つつ偲へと妹が植ゑしやどのなでしこ咲きにけるかも
0602: 夕されば物思ひまさる見し人の言とふ姿面影にして
0818: 春さればまづ咲くやどの梅の花独り見つつや春日暮らさむ
0859: 春されば我家の里の川門には鮎子さ走る君待ちがてに
1101: ぬばたまの夜さり来れば巻向の川音高しもあらしかも疾き
1198: あさりすと礒に棲む鶴明けされば浜風寒み己妻呼ぶも
1511: 夕されば小倉の山に鳴く鹿は今夜は鳴かず寐ねにけらしも
1816: 玉かぎる夕さり来ればさつ人の弓月が岳に霞たなびく
1824: 冬こもり春さり来ればあしひきの山にも野にも鴬鳴くも
1830: うち靡く春さり来れば小竹の末に尾羽打ち触れて鴬鳴くも
1899: 春されば卯の花ぐたし我が越えし妹が垣間は荒れにけるかも
2588: 夕されば君来まさむと待ちし夜のなごりぞ今も寐ねかてにする
2922: 夕さらば君に逢はむと思へこそ日の暮るらくも嬉しくありけれ
3786 : 春さらばかざしにせむと我が思ひし桜の花は散りにけるかも