万葉集: 咲野/佐紀野(さきの)

2010年03月07日(日)更新


奈良県奈良市の佐紀山(さきやま)の南の地とされています。当時は、沼地が多かったとのことです。すぐ南にある水上池(みずかみいけ)もこの地に含まれるのかもしれません。

万葉集に登場する、咲沢/佐紀沢(さきさわ)、開沢(さきさわ)、生沢(さきさわ)、開沼(さきぬ)は、この咲野(さきの)にあったと考えられています(そうではない、という説もあるようです)。

咲野(さきの) 撮影(2010.01.24) by きょう

万葉歌では女郎花(おみなへし)杜若(かきつはた)で、「さき」を導いていますね。


0675: をみなへし佐紀沢に生ふる花かつみかつても知らぬ恋もするかも

1346: をみなへし佐紀沢の辺の真葛原いつかも繰りて我が衣に着む

1905: をみなへし佐紀野に生ふる白つつじ知らぬこともち言はえし我が背

2107: ことさらに衣は摺らじをみなへし佐紀野の萩ににほひて居らむ

2818: かきつはた佐紀沼の菅を笠に縫ひ着む日を待つに年ぞ経にける

3052: かきつはた左紀沢に生ふる菅の根の絶ゆとや君が見えぬこのころ


万葉の故地【奈良】