沼
沼は湿地のひとつで、比較的小さく浅いものを言うようです。今は、どこの沼も埋め立てられて建物が建ったりしていますが、昔は多かったんでしょうね。
沼を詠んだ歌
万葉集では、「隠り沼(こもりぬ)」として詠まれています。隠り沼(こもりぬ)は、流れていく水のはけ口が無くて、淀んでいる沼のことのようです。ですから、気持ちがふさいでいることを表現するときにも使われています。
0201: 埴安の池の堤の隠り沼のゆくへを知らに舎人は惑ふ
1249: 君がため浮沼の池の菱摘むと我が染めし袖濡れにけるかも
1744: 埼玉の小埼の沼に鴨ぞ羽霧るおのが尾に降り置ける霜を掃ふとにあらし
1809: 葦屋の菟原娘子の八年子の片生ひの時ゆ.......(長歌)
2441: 隠り沼の下ゆ恋ふればすべをなみ妹が名告りつ忌むべきものを
2707: 青山の岩垣沼の水隠りに恋ひやわたらむ逢ふよしをなみ
2719: 隠り沼の下に恋ふれば飽き足らず人に語りつ忌むべきものを
2818: かきつはた佐紀沼の菅を笠に縫ひ着む日を待つに年ぞ経にける
3021: 隠り沼の下ゆは恋ひむいちしろく人の知るべく嘆きせめやも
3022: ゆくへなみ隠れる小沼の下思に我れぞ物思ふこのころの間
3023: 隠り沼の下ゆ恋ひあまり白波のいちしろく出でぬ人の知るべく
3415: 上つ毛野伊香保の沼に植ゑ小水葱かく恋ひむとや種求めけむ
3416: 上つ毛野可保夜が沼のいはゐつら引かばぬれつつ我をな絶えそね
3417: 上つ毛野伊奈良の沼の大藺草外に見しよは今こそまされ
3526: 沼二つ通は鳥が巣我が心二行くなもとなよ思はりそね
3547: あぢの棲む須沙の入江の隠り沼のあな息づかし見ず久にして
3935: 隠り沼の下ゆ恋ひあまり白波のいちしろく出でぬ人の知るべく
4261: 大君は神にしませば水鳥のすだく水沼を都と成しつ