酒(さけ) Sake(Rice wine)
日本酒の原料は主に水、米、そして麹(こうじ)です。奈良時代には日本酒が造られていたようですが、それ以前は口噛み製法だったようです。私たちが良く知っている透明な日本酒はめずらしく、一般の人は飲めたとしても、糟湯酒(かすゆざけ: 酒糟を湯にとかしたもの)くらいしか飲めなかったようです。
- The raw materials for sake are mainly water, rice, and jiuqu. It seems that sake was made in the Nara period, but before that it was a Kuchikamizake(sake made from rice which is chewed before fermentation). The transparent sake that we are familiar with is rare, and even if the general public could drink it, it seems that they had could only drink Kasuyuzake(sake lees dissolved in hot water).
酒(さけ)を詠んだ歌 Poems loving Sake
万葉集には、30首以上に詠まれています。そのなかでも、大伴旅人(おおとものたびと)の「酒を讃(ほ)むる歌十三首」がよく知られています。
- There are over 30 poems including sake in the Manyoshu. Among them, "Thirteen Poems Praising Sake" written by Otomo-no-Tabito are well known.
[ 大宰帥(だざいのそち)大伴卿(おおともきょう)の酒を讃(ほ)むる歌十三首 ]
- "Thirteen Poems Praising Sake" written by Otomo-no-Tabito
0338: 験なきものを思はずは一杯の濁れる酒を飲むべくあるらし
0339: 酒の名を聖と負ほせしいにしへの大き聖の言の宣しさ
0340: いにしへの七の賢しき人たちも欲りせしものは酒にしあるらし
0341: 賢しみと物言ふよりは酒飲みて酔ひ泣きするしまさりたるらし
0342: 言はむすべ為むすべ知らず極まりて貴きものは酒にしあるらし
0343: なかなかに人とあらずは酒壷になりにてしかも酒に染みなむ
0344: あな醜賢しらをすと酒飲まぬ人をよく見ば猿にかも似む
0345: 価なき宝といふとも一杯の濁れる酒にあにまさめやも
0346: 夜光る玉といふとも酒飲みて心を遣るにあにしかめやも
0347: 世間の遊びの道に楽しきは酔ひ泣きするにあるべくあるらし
0348: この世にし楽しくあらば来む世には虫に鳥にも我れはなりなむ
0349: 生ける者遂にも死ぬるものにあればこの世なる間は楽しくをあらな
0350: 黙居りて賢しらするは酒飲みて酔ひ泣きするになほしかずけり
0554: 古人のたまへしめたる吉備の酒病めばすべなし貫簀賜らむ
0555: 君がため醸みし待酒安の野にひとりや飲まむ友なしにして
0840: 春柳かづらに折りし梅の花誰れか浮かべし酒坏の上に
0852: 梅の花夢に語らくみやびたる花と我れ思ふ酒に浮かべこそ
0892: 風交り雨降る夜の雨交り雪降る夜はすべもなく.......(長歌)
0973: 食す国の遠の朝廷に汝らがかく罷りなば平けく.......(長歌)
0989: 焼太刀のかど打ち放ち大夫の寿く豊御酒に我れ酔ひにけり
1295: 春日なる御笠の山に月の舟出づ風流士の飲む酒杯に影に見えつつ
1656: 酒杯に梅の花浮かべ思ふどち飲みての後は散りぬともよし
1657: 官にも許したまへり今夜のみ飲まむ酒かも散りこすなゆめ
3875: 琴酒を押垂小野ゆ出づる水ぬるくは出でず.......(長歌)
3879: はしたての熊来酒屋にまぬらる奴わし.......(長歌)
[ 酒造りの歌一首 ]
4031: 中臣の太祝詞言言ひ祓へ贖ふ命も誰がために汝れ
4059: 橘の下照る庭に殿建てて酒みづきいます我が大君かも
4116: 大君の任きのまにまに取り持ちて仕ふる国の.......(長歌)
4205: 皇祖の遠御代御代はい重き折り酒飲みきといふぞこのほほがしは
4254: 蜻蛉島大和の国を天雲に磐舟浮べ艫に舳に.......(長歌)
4262: 唐国に行き足らはして帰り来むますら健男に御酒奉る
4264: そらみつ大和の国は水の上は 地行くごとく.......(長歌)
4275: 天地と久しきまでに万代に仕へまつらむ黒酒白酒を