紀小鹿女郎(きのをしかのいらつめ) Ki-no-Oshika-no-Iratsume
紀女郎(きのいらつめ)とも呼ばれます。紀鹿人(きのかひと)の娘さんです。志貴皇子(しきのみこ)の孫とも川島皇子(かわしまのみこ)の孫とも言われる安貴王(あきのおおきみ)と結婚しました。
- She is also called Ki-no-Iratsume and is the daughter of Ki-no-Kahito. She married Aki-no-Ookimi who is thought to be the grandson of Shiki-no-Miko or Kawashima-no-Miko.
紀小鹿女郎(きのをしかのいらつめ)が詠んだ歌
万葉集には12首が載っており、年下の大伴家持(おおとものやかもち)とやりとりした歌があります。
- Her poems are twelves in the Manyoshu, and there are poems that was exchanged with the younger Otomo-no-Yakamochi.
0643: 世の中の女にしあらば我が渡る痛背の川を渡りかねめや
0644: 今は我はわびぞしにける息の緒に思ひし君をゆるさく思へば
0645: 白栲の袖別るべき日を近み心にむせひ音のみし泣かゆ
紀女郎が大伴宿祢家持に贈る歌二首
0762: 神さぶといなにはあらずはたやはたかくして後に寂しけむかも
0763: 玉の緒を沫緒に搓りて結べらばありて後にも逢はざらめやも
0776: 言出しは誰が言にあるか小山田の苗代水の中淀にして
0782: 風高く辺には吹けども妹がため袖さへ濡れて刈れる玉藻ぞ
1452: 闇ならばうべも来まさじ梅の花咲ける月夜に出でまさじとや
紀女郎が大伴宿祢家持に贈る歌二首
1460: 戯奴がため我が手もすまに春の野に抜ける茅花ぞ食して肥えませ
1461: 昼は咲き夜は恋ひ寝る合歓木の花君のみ見めや戯奴さへに見よ
1648: 十二月には淡雪降ると知らねかも梅の花咲くふふめらずして
1661: 久方の月夜を清み梅の花心開けて我が思へる君