山道
文字通り山の中を通っている道のことで、古代には重要な交通路のひとつです。ただ、石畳となっているものもありますが、自然のままに近く、歩くのが大変でした。
山道を詠んだ歌
山道を詠んだ歌は多くありませんが、歌の多くが、山道の厳しさを物語っているようです。ある程度整った道ならばまだしも、当時は獣道といっていいような険しい山道を行き交うことの方が多かったのでしょうね。
0025: み吉野の耳我の嶺に時なくぞ雪は降りける.......(長歌)
0026: み吉野の耳我の山に時じくぞ雪は降るといふ.......(長歌)
0045: やすみしし我が大君高照らす日の皇子.......(長歌)
0208: 秋山の黄葉を茂み惑ひぬる妹を求めむ山道知らずも
0212: 衾道を引手の山に妹を置きて山道を行けば生けりともなし
0215: 衾道を引手の山に妹を置きて山道思ふに生けるともなし
0382: 鶏が鳴く東の国に高山はさはにあれども.......(長歌)
0466: 我がやどに花ぞ咲きたるそを見れど心もゆかず.......(長歌)
0576: 今よりは城の山道は寂しけむ我が通はむと思ひしものを
1250: 妹がため菅の実摘みに行きし我れ山道に惑ひこの日暮らしつ
1261: 山守の里へ通ひし山道ぞ茂くなりける忘れけらしも
1666: 朝霧に濡れにし衣干さずしてひとりか君が山道越ゆらむ
1730: 山科の石田の小野のははそ原見つつか君が山道越ゆらむ
2315: あしひきの山道も知らず白橿の枝もとををに雪の降れれば
3149: 梓弓末は知らねど愛しみ君にたぐひて山道越え来ぬ
3150: 霞立つ春の長日を奥処なく知らぬ山道を恋ひつつか来む
3192: 草蔭の荒藺の崎の笠島を見つつか君が山道越ゆらむ
3193: 玉かつま島熊山の夕暮れにひとりか君が山道越ゆらむ
3338: あしひきの山道は行かむ風吹けば波の塞ふる海道は行かじ
3356: 富士の嶺のいや遠長き山道をも妹がりとへばけによばず来ぬ
3723: あしひきの山道越えむとする君を心に持ちて安けくもなし
3728: あをによし奈良の大道は行きよけどこの山道は行き悪しかりけり
4225: あしひきの山の紅葉にしづくあひて散らむ山道を君が越えまく