柳(やなぎ) Yanagi(Willow)
ヤナギ科ヤナギ属の樹木、柳には色々な種類がありますが、一般に柳といえば通常は「しだれ柳」をさすことが多いですね。しだれ柳は、中国か朝鮮から渡来したと考えられています。
古代の都(平城京など)の大路や地方の主要道に街路樹として植えられていたそうです。例として、2017年に、鳥取市青谷町の青谷横木遺跡の「山陰道」跡から平安時代のものとみられる柳の街路樹跡が見つかっています。
- There are various types of willows, but generally speaking, willow often refers to weeping willow. Weeping willows are believed to have come from China or Korea. It is said that it was planted as a street tree on the main roads of the ancient city(for example, Heijyokyo in Nara period) and the main roads of the region. As an example, in 2017, a roadside trace of a willow that is believed to be from the Heian period is found from the "Sanindo(Sanin Road)" trace of Aoya Yokogi ruins in Aoya-cho, Tottori city.
柳(やなぎ)を詠んだ歌 Poems including Yanagi
万葉歌では、青々と繁った柳を表す「青柳(あをやぎ)」という言葉がよく使われています。
- Poems in Manyoshu, the word "Aoyagi" is often used to describe a lush green willow.
0817: 梅の花咲きたる園の青柳は蘰にすべくなりにけらずや
0821: 青柳梅との花を折りかざし飲みての後は散りぬともよし
0825: 梅の花咲きたる園の青柳を蘰にしつつ遊び暮らさな
0826: うち靡く春の柳と我がやどの梅の花とをいかにか分かむ
0840: 春柳かづらに折りし梅の花誰れか浮かべし酒坏の上に
1432: 我が背子が見らむ佐保道の青柳を手折りてだにも見むよしもがも
1433: うち上る佐保の川原の青柳は今は春へとなりにけるかも
1819: うち靡く春立ちぬらし我が門の柳の末に鴬鳴きつ
1821: 春霞流るるなへに青柳の枝くひ持ちて鴬鳴くも
1846: 霜枯れの冬の柳は見る人のかづらにすべく萌えにけるかも
1847: 浅緑染め懸けたりと見るまでに春の柳は萌えにけるかも
1851: 青柳の糸のくはしさ春風に乱れぬい間に見せむ子もがも
1852: ももしきの大宮人のかづらけるしだり柳は見れど飽かぬかも
1853: 梅の花取り持ち見れば我が宿の柳の眉し思ほゆるかも
1856: 我がかざす柳の糸を吹き乱る風にか妹が梅の散るらむ
1896: 春さればしだり柳のとををにも妹は心に乗りにけるかも
1904: 梅の花しだり柳に折り交へ花に供へば君に逢はむかも
3443: うらもなく我が行く道に青柳の張りて立てれば物思ひ出つも
3491: 柳こそ伐れば生えすれ世の人の恋に死なむをいかにせよとぞ
3492: 小山田の池の堤にさす柳成りも成らずも汝と二人はも
3546: 青柳の張らろ川門に汝を待つと清水は汲まず立ち処平すも
3603: 青楊の枝伐り下ろしゆ種蒔きゆゆしき君に恋ひわたるかも
3903: 春雨に萌えし柳か梅の花ともに後れぬ常の物かも
4142: 春の日に張れる柳を取り持ちて見れば都の大道し思ほゆ
4192: 桃の花紅色ににほひたる面輪のうちに青柳の.......(長歌)
4238: 君が行きもし久にあらば梅柳誰れとともにか我がかづらかむ