山 Yama(Mountains)
日本の山地の面積は、日本国土の60パーセントにも及びます。人々の近くにいつも山がありました。日本の人々は古くから山を暮らしに身近なものと感じるとともに、山を神が宿ったり降臨したりするところとして崇め、大切にしてきました。
- The area of the mountains in Japan is as much as 60% of the land of Japan. There was always a mountain near the people. Since ancient times, the Japanese people have felt that the mountains are familiar to their daily lives, and have worshiped and cherished the mountains as a place where gods dwell and descend.
具体的な山の名を詠んだもの
・順次追加予定です。
季節の山、象徴的とも思える山を詠んだ歌
春山(はるやま) Mountain in Spring
春山を詠んだ歌は、11首あります。花が咲き、緑が冴える春山のイメージは昔も今も変わらないように思われます。
0016: 冬こもり春さり来れば鳴かずありし鳥も来鳴きぬ.......(長歌)
0052: やすみしし我ご大君高照らす日の皇子荒栲の.......(長歌)
1421: 春山の咲きのををりに春菜摘む妹が白紐見らくしよしも
1451: 水鳥の鴨の羽色の春山のおほつかなくも思ほゆるかも
1684: 春山は散り過ぎぬとも三輪山はいまだふふめり君待ちかてに
1829: 梓弓春山近く家居れば継ぎて聞くらむ鴬の声
1890: 春山の友鴬の泣き別れ帰ります間も思ほせ我れを
1892: 春山の霧に惑へる鴬も我れにまさりて物思はめやも
1923: 白真弓今春山に行く雲の行きや別れむ恋しきものを
1926: 春山の馬酔木の花の悪しからぬ君にはしゑや寄そるともよし
3234: やすみしし我ご大君高照らす日の御子の.......(長歌)
夏山(なつやま) Mountain in Summer
夏山を詠んだ歌は、1首だけです。
1494: 夏山の木末の茂に霍公鳥鳴き響むなる声の遥けさ
秋山(あきやま) Mountain in Autumn
秋山を詠んだ歌は、19首あります。黄葉(もみじ)とともに詠まれているものが目立ちますが、挽歌(ばんか: 亡くなった人をしのぶ歌)の中に詠まれているものもあります。
0016: 冬こもり春さり来れば鳴かずありし.......(長歌)
0092: 秋山の木の下隠り行く水の我れこそ益さめ御思ひよりは
0106: ふたり行けど行き過ぎかたき秋山をいかにか君がひとり越ゆらむ
0137: 秋山に落つる黄葉しましくはな散り乱ひそ妹があたり見む
0208: 秋山の黄葉を茂み惑ひぬる妹を求めむ山道知らずも
0217: 秋山のしたへる妹なよ竹のとをよる子らは.......(長歌)
1409: 秋山の黄葉あはれとうらぶれて入りにし妹は待てど来まさず
1516: 秋山にもみつ木の葉のうつりなばさらにや秋を見まく欲りせむ
1584: めづらしと我が思ふ君は秋山の初黄葉に似てこそありけれ
1703: 雲隠り雁鳴く時は秋山の黄葉片待つ時は過ぐれど
2177: 春は萌え夏は緑に紅のまだらに見ゆる秋の山かも
2179: 朝露ににほひそめたる秋山にしぐれな降りそありわたるがね
2184: 秋山をゆめ人懸くな忘れにしその黄葉の思ほゆらくに
2218: 一年にふたたび行かぬ秋山を心に飽かず過ぐしつるかも
2232: 秋山の木の葉もいまだもみたねば今朝吹く風は霜も置きぬべく
2239: 秋山のしたひが下に鳴く鳥の声だに聞かば何か嘆かむ
2243: 秋山に霜降り覆ひ木の葉散り年は行くとも我れ忘れめや
3234: やすみしし我ご大君高照らす日の御子の.......(長歌)
3707: 秋山の黄葉をかざし我が居れば浦潮満ち来いまだ飽かなくに
・以下の項目も順次追加予定です。