海(うみ) Umi(Sea)
塩水(ほとんどが塩化ナトリウム)で満たされている領域をいいます。日本は海に囲まれていて、昔から海の恵みをいただいてきました。また、海路を通じて大陸の人々との交流や資源・文化の獲得がされてきました。
- Sea is an area filled with salt water (mostly sodium chloride). Japan is surrounded by the sea, and has long been blessed with the blessings of the sea. In addition, exchanges with people on the continent and acquisition of resources and culture have been made through the sea.
海(うみ)を詠んだ歌
万葉集には、潮(しほ)、白波(しらなみ)、海の底、海辺、磯(いそ)など海そのものや海の情景を詠んだ歌などが沢山あります。
0002: 大和には群山あれどとりよろふ.......(長歌)
0062: 在り嶺よし対馬の渡り海中に幣取り向けて早帰り来ね
0083: 海の底沖つ白波龍田山いつか越えなむ妹があたり見む
0131: 石見の海角の浦廻を浦なしと人こそ見らめ.......(長歌)
0135: つのさはふ石見の海の言さへく唐の崎なる.......(長歌)
0138: 石見の海津の浦をなみ浦なしと人こそ見らめ.......(長歌)
0139: 石見の海打歌の山の木の間より我が振る袖を妹見つらむか
0153: 鯨魚取り近江の海を沖放けて漕ぎ来る船.......(長歌)
0220: 玉藻よし讃岐の国は国からか見れども飽かぬ.......(長歌)
0241: 大君は神にしませば真木の立つ荒山中に海を成すかも
0256: 笥飯の海の庭よくあらし刈薦の乱れて出づ見ゆ海人の釣船
0266: 近江の海夕波千鳥汝が鳴けば心もしのにいにしへ思ほゆ
0273: 磯の崎漕ぎ廻み行けば近江の海八十の港に鶴さはに鳴く
0303: 名ぐはしき印南の海の沖つ波千重に隠りぬ大和島根は
0306: 伊勢の海の沖つ白波花にもが包みて妹が家づとにせむ
0319: なまよみの甲斐の国うち寄する駿河の国と.......(長歌)
0366: 越の海の角鹿の浜ゆ大船に真楫貫き下ろし.......(長歌)
0367: 越の海の手結が浦を旅にして見れば羨しみ大和偲ひつ
0371: 意宇の海の河原の千鳥汝が鳴けば我が佐保川の思ほゆらくに
0536: 意宇の海の潮干の潟の片思に思ひや行かむ道の長手を
0600: 伊勢の海の礒もとどろに寄する波畏き人に恋ひわたるかも
0676: 海の底奥を深めて我が思へる君には逢はむ年は経ぬとも
0689: 海山も隔たらなくに何しかも目言をだにもここだ乏しき
0813: かけまくはあやに畏し足日女神の命.......(長歌)
0874: 海原の沖行く船を帰れとか領巾振らしけむ松浦佐用姫
0894: 代より言ひ伝て来らくそらみつ大和の国は.......(長歌)
0933: 天地の遠きがごとく日月の長きがごとく.......(長歌)
0938: やすみしし我が大君の神ながら高知らせる.......(長歌)
0954: 朝は海辺にあさりし夕されば大和へ越ゆる雁し羨しも
0977: 直越のこの道にしておしてるや難波の海と名付けけらしも
1003: 海女娘子玉求むらし沖つ波畏き海に舟出せり見ゆ
1016: 海原の遠き渡りを風流士の遊ぶを見むとなづさひぞ来し
1062: やすみしし我が大君のあり通ふ難波の宮は.......(長歌)
1063: あり通ふ難波の宮は海近み海人娘子らが乗れる舟見ゆ
1075: 海原の道遠みかも月読の光少き夜は更けにつつ
1089: 大海に島もあらなくに海原のたゆたふ波に立てる白雲
1145: 妹がため貝を拾ふと茅渟の海に濡れにし袖は干せど乾かず
1155: 名児の海の朝明のなごり今日もかも磯の浦廻に乱れてあるらむ
1157: 時つ風吹かまく知らず吾児の海の朝明の潮に玉藻刈りてな
1169: 近江の海港は八十ちいづくにか君が舟泊て草結びけむ
1176: 夏麻引く海上潟の沖つ洲に鳥はすだけど君は音もせず
1177: 若狭なる三方の海の浜清みい行き帰らひ見れど飽かぬかも
1184: 鳥じもの海に浮き居て沖つ波騒くを聞けばあまた悲しも
1189: 大海にあらしな吹きそしなが鳥猪名の港に舟泊つるまで
1201: 大海の水底響み立つ波の寄らむと思へる礒のさやけさ
1218: 黒牛の海紅にほふももしきの大宮人しあさりすらしも
1223: 海の底沖漕ぐ舟を辺に寄せむ風も吹かぬか波立てずして
1232: 大海の波は畏ししかれども神を斎ひて舟出せばいかに
1239: 大海の礒もと揺り立つ波の寄せむと思へる浜の清けく
1266: 大船を荒海に漕ぎ出でや船たけ我が見し子らがまみはしるしも
1290: 海の底沖つ玉藻のなのりその花妹と我れとここにしありとなのりその花
1299: あぢ群のとをよる海に舟浮けて白玉採ると人に知らゆな
1308: 大海をさもらふ港事しあらばいづへゆ君は我を率しのがむ
1309: 風吹きて海は荒るとも明日と言はば久しくあるべし君がまにまに
1317: 海の底沈く白玉風吹きて海は荒るとも取らずはやまじ
1319: 大海の水底照らし沈く玉斎ひて採らむ風な吹きそね
1322: 伊勢の海の海人の島津が鰒玉採りて後もか恋の繁けむ
1323: 海の底沖つ白玉よしをなみ常かくのみや恋ひわたりなむ
1327: 秋風は継ぎてな吹きそ海の底沖なる玉を手に巻くまでに
1390: 近江の海波畏みと風まもり年はや経なむ漕ぐとはなしに
1397: 荒礒越す波は畏ししかすがに海の玉藻の憎くはあらずて
1417: 名児の海を朝漕ぎ来れば海中に鹿子ぞ鳴くなるあはれその鹿子
1453: 玉たすき懸けぬ時なく息の緒に我が思ふ君は.......(長歌)
1715: 楽浪の比良山風の海吹けば釣りする海人の袖返る見ゆ
1740: 春の日の霞める時に住吉の岸に出で居て.......(長歌)
1757: 草枕旅の憂へを慰もることもありやと.......(長歌)
1780: ことひ牛の三宅の潟にさし向ふ鹿島の崎に.......(長歌)
1781: 海つ道のなぎなむ時も渡らなむかく立つ波に船出すべしや
1920: 春草の繁き我が恋大海の辺に行く波の千重に積もりぬ
2367: 海原の道に乗りてや我が恋ひ居らむ大船のゆたにあるらむ人の子ゆゑに
2435: 近江の海沖つ白波知らずとも妹がりといはば七日越え来む
2436: 大船の香取の海にいかり下ろしいかなる人か物思はずあらむ
2438: 人言はしましぞ我妹綱手引く海ゆまさりて深くしぞ思ふ
2439: 近江の海沖つ島山奥まけて我が思ふ妹が言の繁けく
2440: 近江の海沖漕ぐ舟のいかり下ろし隠りて君が言待つ我れぞ
2445: 近江の海沈く白玉知らずして恋ひせしよりは今こそまされ
2486: 茅渟の海の浜辺の小松根深めて我れ恋ひわたる人の子ゆゑに
2728: 近江の海沖つ島山奥まへて我が思ふ妹が言の繁けく
2730: 紀の海の名高の浦に寄する波音高きかも逢はぬ子ゆゑに
2738: 大船のたゆたふ海にいかり下ろしいかにせばかも我が恋やまむ
2741: 大海に立つらむ波は間あらむ君に恋ふらくやむ時もなし
2779: 海原の沖つ縄海苔うち靡き心もしのに思ほゆるかも
2781: 海の底奥を深めて生ふる藻のもとも今こそ恋はすべなき
2801: 大海の荒礒の洲鳥朝な朝な見まく欲しきを見えぬ君かも
2805: 伊勢の海ゆ鳴き来る鶴の音どろも君が聞こさば我れ恋ひめやも
3027: 近江の海辺は人知る沖つ波君をおきては知る人もなし
3028: 大海の底を深めて結びてし妹が心はうたがひもなし
3166: 我妹子を外のみや見む越の海の子難の海の島ならなくに
3169: 能登の海に釣する海人の漁り火の光りにいませ月待ちがてり
3190: 雲居なる海山越えてい行きなば我れは恋ひむな後は逢ひぬとも
3199: 海の底沖は畏し礒廻より漕ぎ廻みいませ月は経ぬとも
3217: 荒津の海我れ幣奉り斎ひてむ早帰りませ面変りせず
3234: やすみしし我ご大君高照らす日の御子の.......(長歌)
3237: あをによし奈良山過ぎてもののふの宇治川渡り.......(長歌)
3238: 逢坂をうち出でて見れば近江の海白木綿花に波立ちわたる
3239: 近江の海泊り八十あり八十島の島の崎々.......(長歌)
3243: 娘子らが麻笥に垂れたる続麻なす長門の浦に.......(長歌)
3244: 阿胡の海の荒礒の上のさざれ波我が恋ふらくはやむ時もなし
3301: 神風の伊勢の海の朝なぎに来寄る深海松.......(長歌)
3332: 高山と海とこそば山ながらかくもうつしく.......(長歌)
3335: 玉桙の道行く人はあしひきの山行き野行き.......(長歌)
3336: 鳥が音の聞こゆる海に高山を隔てになして.......(長歌)
3338: あしひきの山道は行かむ風吹けば波の塞ふる海道は行かじ
3339: 玉桙の道に出で立ちあしひきの野行き山行き.......(長歌)
3348: 夏麻引く海上潟の沖つ洲に船は留めむさ夜更けにけり
3359: 駿河の海おし辺に生ふる浜つづら汝を頼み母に違ひぬ
3360: 伊豆の海に立つ白波のありつつも継ぎなむものを乱れしめめや
3397: 常陸なる浪逆の海の玉藻こそ引けば絶えすれあどか絶えせむ
3498: 海原の根柔ら小菅あまたあれば君は忘らす我れ忘るれや
3580: 君が行く海辺の宿に霧立たば我が立ち嘆く息と知りませ
3582: 大船を荒海に出だしいます君障むことなく早帰りませ
3592: 海原に浮寝せむ夜は沖つ風いたくな吹きそ妹もあらなくに
3605: わたつみの海に出でたる飾磨川絶えむ日にこそ我が恋やまめ
3609: 武庫の海の庭よくあらし漁りする海人の釣舟波の上ゆ見ゆ
3613: 海原を八十島隠り来ぬれども奈良の都は忘れかねつも
3648: 海原の沖辺に灯し漁る火は明かして灯せ大和島見む
3651: ぬばたまの夜渡る月は早も出でぬかも海原の八十島の上ゆ妹があたり見む
3685: 足日女御船泊てけむ松浦の海妹が待つべき月は経につつ
3718: 家島は名にこそありけれ海原を我が恋ひ来つる妹もあらなくに
3849: 生き死にの二つの海を厭はしみ潮干の山を偲ひつるかも
3852: 鯨魚取り海や死にする山や死にする死ぬれこそ海は潮干て山は枯れすれ
3870: 紫の粉潟の海に潜く鳥玉潜き出ば我が玉にせむ
3891: 荒津の海潮干潮満ち時はあれどいづれの時か我が恋ひざらむ
3897: 大海の奥かも知らず行く我れをいつ来まさむと問ひし子らはも
3932: 須磨人の海辺常去らず焼く塩の辛き恋をも我れはするかも
3959: かからむとかねて知りせば越の海の荒礒の波も見せましものを
3989: 奈呉の海の沖つ白波しくしくに思ほえむかも立ち別れなば
3991: もののふの八十伴の男の思ふどち心遣らむと.......(長歌)
3992: 布勢の海の沖つ白波あり通ひいや年のはに見つつ偲はむ
3993: 藤波は咲きて散りにき卯の花は今ぞ盛りと.......(長歌)
4020: 越の海の信濃[濱名也]の浜を行き暮らし長き春日も忘れて思へや
4025: 志雄路から直越え来れば羽咋の海朝なぎしたり船楫もがも
4029: 珠洲の海に朝開きして漕ぎ来れば長浜の浦に月照りにけり
4032: 奈呉の海に舟しまし貸せ沖に出でて波立ち来やと見て帰り来む
4034: 奈呉の海に潮の早干ばあさりしに出でむと鶴は今ぞ鳴くなる
4038: 玉櫛笥いつしか明けむ布勢の海の浦を行きつつ玉も拾はむ
4044: 浜辺より我が打ち行かば海辺より迎へも来ぬか海人の釣舟
4094: 葦原の瑞穂の国を天下り知らしめしける.......(長歌)
4106: 大汝少彦名の神代より言ひ継ぎけらく父母を.......(長歌)
4187: 思ふどちますらをのこの木の暗の繁き思ひを.......(長歌)
4199: 藤波の影なす海の底清み沈く石をも玉とぞ我が見る
4211: 古にありけるわざのくすばしき事と言ひ継ぐ.......(長歌)
4328: 大君の命畏み磯に触り海原渡る父母を置きて
4334: 海原を遠く渡りて年経とも子らが結べる紐解くなゆめ
4335: 今替る新防人が船出する海原の上に波なさきそね
4360: 皇祖の遠き御代にも押し照る難波の国に.......(長歌)
4361: 桜花今盛りなり難波の海押し照る宮に聞こしめすなへ
4362: 海原のゆたけき見つつ葦が散る難波に年は経ぬべく思ほゆ
4383: 津の国の海の渚に船装ひ立し出も時に母が目もがも
4399: 海原に霞たなびき鶴が音の悲しき宵は国辺し思ほゆ
4408: 大君の任けのまにまに島守に我が立ち来れば.......(長歌)
4491: 大き海の水底深く思ひつつ裳引き平しし菅原の里
4514: 青海原風波靡き行くさ来さつつむことなく船は速けむ